軟骨無形成症は、症状を確認し、X線検査などをしてから診断となります。
代表的な症状のひとつは、身長が低いことです。出生時には気づきにくいのですが、成長期でも身長が伸びず、成人期では男性で約130cm、女性で約124cmといわれています1 。そのほか、手や足の長さが短い、頭が大きい、特徴のある顔(額と下顎が前に出ている、顔の真ん中がやや凹んでいる、鼻が低い)、指が短く、伸ばしたときに中指と薬指の間が離れる(三尖手)などを確認します2。
軟骨無形成症はほぼ全身の骨格に症状がある病気なので、X線検査も四肢、背骨、骨盤、頭部、手の骨というように全身で行います2。
身長が低くなる病気はいくつか種類があるため、症状とX線検査の結果をもとに、ほかの病気ではないかどうかを判断します。判断が難しい場合、遺伝学的検査にてFGFR3遺伝子の変異を検査することもあります2。
軟骨無形成症には、まだ根本的な治療法はありませんが、国内の保険診療で受けることのできる治療法は次の3つがあります。より詳しい内容は主治医にご相談ください。
成長ホルモンを皮下注射で投与する治療です。自宅での注射(在宅自己注射)も可能です。治療を開始するには、いくつかの条件が必要になります(身長が同性、同年齢の標準値よりも-3SD以下、年齢は男女ともに3歳程度以上、骨年齢は男性17歳未満・女性15歳未満、身長が同性・同年齢の標準値から一定の基準値以上低いこと、この病気の特徴的な症状があること、手術の必要な合併症がないことなど)。
外科手術で骨に切れ目を作って骨折状態にし、伸ばしたい方向に引っ張った状態を器具(創外固定具)で固定して、骨が回復する力を頼りに骨の長さを伸ばす方法です。固定具を調整して少しずつ伸ばすため、治療が終わるまでの期間は何ヵ月かかかります。固定具を止めるピンなどからの感染症のリスクがあり、肉体的にも精神的にも負担の生じる方法です。従って、患者さん本人が意思決定すること、および本人が意思決定のできる12歳以降での実施が推奨されています。
※1 ナトリウム利尿ペプチド受容体B
※2 C型ナトリウム利尿ペプチド
軟骨無形成症は体全体に影響があります。このため、さまざまな専門家が治療やケアに関わります。症状や合併症には個人差があるので、患者さんによって関わる専門家の種類や、関わる時期は異なるかもしれません。また、医療以外の領域で専門家の力が必要になる場合もあります。主治医に相談し、医師以外の医療スタッフや、医療以外の専門家の協力が得られるようにするとよいでしょう。 この表は、軟骨無形成症の治療やケアに関わる可能性のある診療科を紹介しています。
軟骨無形成症の治療やケアには、医師や看護師、薬剤師以外にもさまざまな専門スタッフが関わっています。